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二次試験 en ガーデンコート

会場のニューオータニ・ガーデンコートには、お昼の12時30分に集合。
控え室に着くと、すでに参加者が大勢着替えて待機している。
全員、白いシャツに黒いズボン、腰には赤いファヒン。
60人も同じ格好をしていると、圧巻だ。
先週買い揃えた我が衣装に袖を通し、ふんどしを締める勢いで(経験はないが)
ファヒンを腰にぐいっと巻いて、いざ、出陣!




午後1時、始めに45分間の筆記試験が行われた。
シェリーの歴史、ヘレス一帯の地理、気候、ブドウ栽培、収穫、醸造・熟成、シェリーのタイプや品質管理などについての、全般的な内容。
いくつか即答できない問いもあり、完璧とは言えないまでも、全般的には意外と簡単な内容で、感触としては大体8〜9割の出来。
しかし、スペイン語で答えさせる問題があまりに少ないのには、ちょっと拍子抜け。
D.O.Jerezのホームページに載っている情報を元に原語で覚えるようにしていたので
『そんな時間があったら、もっと実技の練習しておけば良かった・・・』
これは終わった後の素直な感想。トホホ〜
いつか、この努力が報われる時が来ると良いのだが。

デグスタシオン(きき酒)は2種類。色の薄いものと、琥珀色のもの。
試験前の一ヶ月は、毎日シェリーを何種類か必ず口にするようにしていた。
練習用にと、購入したボトルは通算10本。店に持ち込んで飲んだ。
月一度のしぇりークラブ通いでも、様々なタイプを飲んで飲んで飲んで飲んで、飲んだ。飲めば飲む程、バリエーションの多さにいつも頭を悩まされつつ、シェリーの奥深さに驚かされ、どんどん魅了されていった。
そんな身体に染み付いた記憶を元に、導き出した答えは
『Manzanilla と Medium』
琥珀色の方は、ミディアムにしては糖度が低いように思えたが、
迷わなかった。

最後に、実技試験は2名同時に並んで行われた。
制限時間は2分、その間にグラスを持ち、樽からベネンシアでシェリーを汲み、
注ぐという一連の動作を繰り替えすのだ。
受験番号が後ろの方だったので、待ち時間が結構長い。
控え室から、次々に受験者が呼ばれて行く。
待つこと一時間半、しぇりークラブで一緒に練習した番号続き
Zホテル勤務のソムリエール、Nさんと一緒に呼ばれた。
「頑張ろうね」
お互い励まし合いつつ、二人で深呼吸をしてから、試験会場に入る。

つい立てで仕切られた狭い空間に、6名ほどの審査員がずらりと並んでいた。
その目の前で、1個持ち、3個持ちの計4個のグラスにシェリーを注ぐのだ。
もう、やるしかない。
緊張しつつも、「姿勢に気をつけて、堂々と」を胸に。
お店同僚のバイラオーラ、T子さん直伝のフラメンコ基本姿勢を実演してやる。
ちょっとぐらいコボしても、構うもんか。

1個持ちを注ぎ終わり(ここはあまり覚えていない)
グラスを3個持ち替えて注ぎ始めようと、構えると、
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ」
何と審査員が全員、もう一人の、Nさんの方を向いているのだ。
彼女の方が先に注ぎ始めたからである。
そんな状況で始めて、上手く注げても肝心の審査員が見てないなんて、冗談じゃない。

「おいおい!!頼むよ、こっちも見てよ。」
彼女の注ぐ音が止まって、真ん中のスペイン人審査員が向き直すまで、構えて待っていた。
制限時間など知るものか。
あと二人がこちらを向いた瞬間、注ぎ始めると・・・
「コポコポコポコポ・・・・・シャッ」
運良く、練習通り、バッチリ決まったのである。ヤッタ!!!
調子に乗ってもう一丁、これもテンポよく早く注げ、コルテも決まった。
「どうだ、見たか!」と審査員席を睨みつけ、胸を張る。
この2投が、この日一番気持ちのよい瞬間だった。
会場を出て、左手に漂うシェリーの良い香りを嗅ぎながら、控え室に戻った。

実技が終わってさらに一時間半、今度は結果発表待ち。
終わった安堵感と、同じ緊張感を共有したという親近感から、
控え室の空気も和んでいく。
しぇりークラブで知り合った同志や、元々知り合いのソムリエ君と
感想などを話し合って、脱力しつつ過ごした。

夕方の5時。「外のボードに結果出たみたいですよ」
誰かの声が控え室に響く。
皆、一斉に部屋を出ると、ホワイトボードに受験番号がマーカーで書かれている。
この場で合否がわかるのだ。
"Aficionadores” のところには、番号がない・・・・・落ちたか??
ふと、その下の "Venenciadores" に目を落とす。
『・・・・・・・43・・・・』
「うわっ、ベネンシアドールだ。」本命の方に合格したのだ。
受かってしまった、どうしよう。

ウロウロしていると、しぇりークラブで知り合った茅ヶ崎のバーテンダーI氏、
NリカーのB氏、そして毎月北九州から飛行機で東京まで練習に来ていた、
ホテル勤務のSさんも同様に合格したという。
握手し、お互い祝福し合った。本当に嬉しいひとときだった。

3ヶ月間お店のキッチンで、午後ジョルディのシエスタの邪魔をしながら30分。
そして1ヶ月前からは営業後の夜、店に居残り1〜2時間、ジョビジョバやってきた。
10日前、しぇりークラブの渡邊さんに新しい技を教わり、出来ないながらも必死で練習して、やっと自分のコルテが身に付いた。
1週間前の深夜には、ムービーで撮影してもらいながら、T子さんにフラメンコ姿勢を叩き込まれた。それを意識して頑張ってきた甲斐があった。

とりあえず、お店に連絡。
そして、この後のレセプションパーティーに大阪から駆けつけている友人K子さんと、ツレにメールで報告。
「公式ベネンシアドールに選ばれた、この後すぐにまた最終試験だよ。」
喉が渇いた、ビールが飲みたい・・・
そんな気持ちを押さえ、再び試験会場へ向かう。
昼間も同じ通路を歩いたが、足取りはもう、軽かった。
上位2名が、スペイン・ヘレスへ研修旅行に行けるのだ・・・・・
もしかして、もしかするかも?
by irdecopas | 2006-10-29 16:32 | Venenciador シェリー
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