新しい私へ para nuevo yo

2011年9月25日(日) 

ここは東京都世田谷区の某病院。

先週末の緊急入院から9日。

過労が祟り、お腹を痛めたもののおかげさまで順調に快復し、明日退院。

ベッドに横たわるのも飽きてきたし、そろそろ良い機会。

長きに渡ってこのブログを読み、応援して下さった方々。友人達、お客様。

そして、新しく出会う方々へ、ご挨拶を兼ねての記事更新。




昨年末、前のお店を辞めてから、友人のソムリエに紹介された仕事。

それが、私の" 天職 "とさえ言える、「ワイン販売」だった。

正直、面白くて仕事をしているという感覚があまりないくらい。

行き交うお客様とコミュニケーションを取る。

まずは声をかけて、試飲があるときはおすすめし、反応を見ながらお話しする。

そのやりとりを楽しんでいると

お客様が「じゃあ、これにします」ポンポン、とワインを購入なさる。

クロージングまでのやり取りは、まさに集中力と瞬間的な駆け引きを総動員する『ゲーム』。

その積み重ねで、一日の売上額や売れた本数など、数字にハッキリ結果として表れる。

グロッサリーショップや、酒販店、有名百貨店。

年末商戦、また或る時はクリスマスには寒空、気温0度以下の屋外で

マッチ売りの少女ならぬ「ワイン売りの○女」と化したことも。


3.11の震災直後、某大手酒屋チェーンの青山店の3日間は忘れられない。

節電で電車が止まることを避け、世田谷から自転車で通い、渋谷の繁華街を通過して40分かけて往復した。

当時、特に酒類以外の水や食品を求めるお客様が大多数、しかもほとんどの方々が「マスク」

「ワインはいかがですか?」なんて話しかけるのも憚られるような、

あの、重苦しく、険しい雰囲気の中。

しかも、そのお店の本社は宮城。倉庫も壊滅的な状況で、商品の流通もままならず。

従業員の皆さんは疲労困憊。 

そして、売るアイテムは甘口のスプマンテ、の5重苦。

「売りづらい、試飲さえなかなかしてもらえないし、買ってもらえない」と、他店舗のソムリエ仲間が嘆いていた。

初日、平日金曜日11時に試飲販売を開始したけれど、案の定、客足もまばら。

お店の雰囲気はかなり固く、無表情に接客するスタッフ達。

そこで、直感的に思った。

「ワインを売るんじゃない。こんな状況だからこそ、笑顔をお店に広めるのが私の使命。お店を明るくしよう」

そう、心に決めた。

次の瞬間から、来店するお客様に、くまなく声をかけた。

「お車じゃなかったら、甘いけれど飲んでホッとしてくださいね。」

そして、広い売場をウロウロし始めた。何処に何の商品が陳列してあるのかを大体把握するために。

すると、自然と声が掛かる。

「お米はないの?」「いつもある缶詰は?」「パスタは?」

ワイン試飲そっちのけで笑顔、笑顔、また笑顔で店内を走り回り、

「いつ入るの?他にないの?」の質問には、お店のスタッフさんとの橋渡し。

その合間に、持ち場に戻ると、チーズをじっと眺めているお客様発見。

「クリームチーズなら、このスプマンテ合いますよ」と、カップを渡す。

買い物カゴを見て、甘口好きとわかったら、すかさずピンポイントでおすすめ。

ビールをケース買いする方には、遠慮なくお薦め。

甘口が苦手な方には、辛口のカヴァを。

従業員の皆さんには、笑顔で「トイレ行ってきます!」

初日はそんなこんなで、対象アイテムがやっと10本売れた。

二日目は、さらに甘口アイテム、しかも来客数は減ったが、13本。

三日目は、なんと、次々店舗の在庫がなくなり、赤坂店まで店長さんが追加を取りに行ってくれたほど。

辛口赤も急遽入れて21本。3日間で44本、全てのメーカー在庫をきれいに売り切る以上のことが出来た。

一番うれしかったのは、3日間で顔見知りになったお客様が

「今日はじゃあ、それ一本貰うわ」

「甘口はダメだけど、辛口なら6本買うよ」

顔を覚えていただいたこと。レジ前で毎日立っていたので、否応なしだったとは思うけれど。

ニコニコ笑って、毎日甘口のスプマンテを一本ずつ買ってくれた外国人男性のお客様も居た。

そして、最初はとても表情の固かったスタッフの皆さんが、最後は笑顔を見せてくれた。

最終日に退出する時には、いつも厳しく無愛想だった店長さんから

「やりますね。」とのお言葉を頂き、してやったり。

派遣ワイン販売員の仕事を始めて、2ヶ月目の出来事。

そして、同じ3月の末、池袋の駅地下コンコース催事では、

一週間で500万円以上のワインが、大量に売れていったことも。

今でも、あの震災後の青山の経験が原点だ。

ワイン、モノを売る仕事、とは「商品とお金を介しての、人間同士のコミュニケーション」

これが、私のモットー。 

今やワインでも何でも

インターネットでいくらでも、安く手に入る。

上手くマーケティングすれば、販売員がいなくても売れる。

でも、わざわざ何故ショップに買いに来るお客様がいらっしゃるのか。

ワインは楽しんで飲むもの。だから、楽しんで買って欲しい。

一人一人のお客様に合った、サービスの「付加価値」。

これを高めながら、お客様も満足し、ショップ(売場)も満足。そして

ワインを供給するインポーターも、満足させる。

三者の満足を満たす仕事、だ。

そして、私自身の満足は自然と表れるものであると信じている。

信念に違わぬ仕事をしていきたい。

毎日、楽しみながら、たくさんの出会いと共に感動していきたい。

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by irdecopas | 2011-09-25 21:50 | Mi Presentación
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